特別な日 ― 1981/01/21 17:31
・
ボクが高校を卒業したばかりの頃でしょうか
休日だったのかな
姉がボクのところに来て言いました
「御飯おごるからドライブに付き合わない?」
する事も無かったので、ボクは付き合う事にしました
良く晴れた日でした
ドライブ日和です
車は川上の方へ向かいます
車の中で、姉はそっと話しをしました
「今日は子供の命日なの…」
…そうなんだ…
ボクには言いようもありません
三年ほど前
まだ、姉が高校生の頃
彼女は、当時付き合っていた同じ歳の彼との間に
子供を身ごもりました
姉は産みたかったようです
母の説得に泣きじゃくっていた姿を覚えてます
ボクは、その時も”生めばいいじゃん!”と思ってたけど
それを口にする事はありませんでした
(学生が子供を育てる事が大変なのは想像付いたし…)
結局、彼の母親が家へ訪れ、
「堕ろしてくれ」と直談判されて、彼女は諦めたようです
(ふたりは、高校を卒業後、別れてしまいました)
去年、実家に帰った時、母がその時の話を持ち出して
「生んどけば良かったとけ…」
と、言いました
ボクは呆れて、
”あんたも堕ろせって説得してたくせに!?”
と言うと、母は怒ったように
「何て言いよんね。あっちのお母さんの、家に来て、
”堕ろしてくれ”てお金ば置いて行きんさったけん、
姉ちゃんは堕ろしたとばい!!」
あんたも、それに乗っかって反対してたでしょうが…
全く都合がいいモンです
姉の彼は養子という話でした
子供の出来ない両親が、
兄弟だったか従兄弟だったか…その子供を養子として
育てたとの事
家業があり跡取り息子として、大事に育てられたようです
母の話では、今では両親共もうこの世には亡く、
家業も潰れ、彼自身二度の離婚の末、
行方が分からないとの事でした
…悲しい話です
車は、川上のあるお寺の前で停まりました
ここに、その子が祭られてる…
…初めて知りました
「どうする?」
と、姉が訊きます
”車で待ってるよ”
ボクは居た堪れない気持ちだったから、
彼女と一緒に中へ入る気になれませんでした
多分、姉も一人の方が良いんじゃないかと、思ったし…
でも、今はそれを後悔しています
一緒に行って、見届ければよかった
薄情な叔父さんを許してね…
「じゃ、行ってくるね」
そう言って、姉は、お寺の石段を上がっていきます
当時、無責任すぎる彼に、とてもムカついていました
姉に対しても
”泣く位だったらちゃんと避妊しろや!”
と、腹も立ててました
でも…
彼女は彼女なりに精一杯背負っているんだな…
姉の背中を見送りながら、そう思いました
若さって、残酷ですね
怖いモノ知らずなのは若者の特権だけど、
未熟故、相手の事を思ってるつもりが、
結局、自分の事しか考えて無かったり、
快感原則に流されたりで、相手も自分も傷ついてしまう…
甘酸っぱい想い出になるくらいで済めばいいけど、
時には、一生疼き続ける傷跡を残す事もあります
ボクも若すぎた…
今なら、姉に言って上げられる事があるのに、
この時は、何の言葉も持ちませんでした
…ボクは、若さ(未熟さ)を、
いいと思った事はありません
十代の頃のボクは、最低です
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ボクが高校を卒業したばかりの頃でしょうか
休日だったのかな
姉がボクのところに来て言いました
「御飯おごるからドライブに付き合わない?」
する事も無かったので、ボクは付き合う事にしました
良く晴れた日でした
ドライブ日和です
車は川上の方へ向かいます
車の中で、姉はそっと話しをしました
「今日は子供の命日なの…」
…そうなんだ…
ボクには言いようもありません
三年ほど前
まだ、姉が高校生の頃
彼女は、当時付き合っていた同じ歳の彼との間に
子供を身ごもりました
姉は産みたかったようです
母の説得に泣きじゃくっていた姿を覚えてます
ボクは、その時も”生めばいいじゃん!”と思ってたけど
それを口にする事はありませんでした
(学生が子供を育てる事が大変なのは想像付いたし…)
結局、彼の母親が家へ訪れ、
「堕ろしてくれ」と直談判されて、彼女は諦めたようです
(ふたりは、高校を卒業後、別れてしまいました)
去年、実家に帰った時、母がその時の話を持ち出して
「生んどけば良かったとけ…」
と、言いました
ボクは呆れて、
”あんたも堕ろせって説得してたくせに!?”
と言うと、母は怒ったように
「何て言いよんね。あっちのお母さんの、家に来て、
”堕ろしてくれ”てお金ば置いて行きんさったけん、
姉ちゃんは堕ろしたとばい!!」
あんたも、それに乗っかって反対してたでしょうが…
全く都合がいいモンです
姉の彼は養子という話でした
子供の出来ない両親が、
兄弟だったか従兄弟だったか…その子供を養子として
育てたとの事
家業があり跡取り息子として、大事に育てられたようです
母の話では、今では両親共もうこの世には亡く、
家業も潰れ、彼自身二度の離婚の末、
行方が分からないとの事でした
…悲しい話です
車は、川上のあるお寺の前で停まりました
ここに、その子が祭られてる…
…初めて知りました
「どうする?」
と、姉が訊きます
”車で待ってるよ”
ボクは居た堪れない気持ちだったから、
彼女と一緒に中へ入る気になれませんでした
多分、姉も一人の方が良いんじゃないかと、思ったし…
でも、今はそれを後悔しています
一緒に行って、見届ければよかった
薄情な叔父さんを許してね…
「じゃ、行ってくるね」
そう言って、姉は、お寺の石段を上がっていきます
当時、無責任すぎる彼に、とてもムカついていました
姉に対しても
”泣く位だったらちゃんと避妊しろや!”
と、腹も立ててました
でも…
彼女は彼女なりに精一杯背負っているんだな…
姉の背中を見送りながら、そう思いました
若さって、残酷ですね
怖いモノ知らずなのは若者の特権だけど、
未熟故、相手の事を思ってるつもりが、
結局、自分の事しか考えて無かったり、
快感原則に流されたりで、相手も自分も傷ついてしまう…
甘酸っぱい想い出になるくらいで済めばいいけど、
時には、一生疼き続ける傷跡を残す事もあります
ボクも若すぎた…
今なら、姉に言って上げられる事があるのに、
この時は、何の言葉も持ちませんでした
…ボクは、若さ(未熟さ)を、
いいと思った事はありません
十代の頃のボクは、最低です
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