この世界に、僕たちが生きてること2008/02/26 18:27

河合正嗣「110人の笑顔の肖像画」




「悲しいときは悲しいと言えばいい
 楽しいときは楽しいと言えばいい
  それが本当に人間のあるべき姿だと思う」

                     河合正嗣(画家)



目新しい言葉ではないので、
誰が言っても有効な台詞ではないかもしれません


日曜に、駅伝を見終わってたまたまNHKにチャンネルを変えたら
ドキュメント番組をやっていました


”デュシェンヌ型筋ジストロフィー”


筋ジストロフィーの中でも、最も重い病で
次第に筋萎縮と筋力が低下していく遺伝性筋疾患です
筋力の低下はまずは脚力から顕著になり
最終的には内臓にもおよびます

現在28歳の河合正嗣さんは、双子の弟をこの病により亡くし、
自らも同じ病で、今や呼吸どころか
心臓ですら自力では動かせなくなっていました

彼は言いました

「ボクは自殺すら、自力ではできないんです」


ボクらは悲しければ、
泣いたり叫んだり喚いたり八つ当たりしたりできるし
楽しければ、笑えるし
スキップもできるし、その気になればバク宙だってできる
(いや、バク宙はムリかも‥)

全身を使って感情を表現できるボクらに比べて、
河合さんは笑うことも泣く事もままならない‥

それでもわずかに動く手で彼は、110人の笑顔を、
肖像画として完成させる事をライフワークに絵を描き続けています

筆に鉛筆を括りつけ、
少ししか動かない手で細かい線を少しずつ重ね描かれる肖像画
それはとても気の遠くなるような作業に思えました
(今、描き終っているのは半分くらいでしょうか)

そんな彼が言う言葉だから「悲しい時‥楽しい時‥」という台詞は
説得力がありました

生きるというのは不平等ですね

でも、多かれ少なかれ人それぞれ不自由はあるでしょう

だから、自分に与えられた条件の中で
”生”一杯、人は生きるべき…

河合さんの言葉や生き方からそんなことを考えさせられました




ボクは今、”生”一杯………生きれてないかな…


                                     ・