ある日の事 ― 1973/01/21 02:11
・
何才の時だったか…
多分、ボクが小学校の4年生位の時だったと思います
その日はボクは学校を休んでいました
理由は風邪だったかズル休みだったか…
まあ、とにかく平日なのに家に居ました(笑)
布団に寝ていると、母が
「街に行くけん、付いて来?」
と言いました
街に行く、それは当時のボクにとって一大イベントでした
玉屋のオモチャ売り場でオモチャを見たり
レストランでハンバーグを食べたり、
お菓子を買って貰えたり…
…できる可能性があるのです(笑)
ボクは即答で「行く!!」と答えました
いつものようにボクらはバスに乗りました
しかし、いつもの玉屋前へ行くバスではありませんでした
何処へ行ってるんだろう?
疑問に思い乍らボクはバスの窓から外を眺めていました
そして、ボクらが降りたバス停は与賀神社の前
母は神社の横にある産婦人科へ向かって行きます
入り口の前まで来ると、母はボクに、
外で待つようにと言いました
「お医者さんに診て貰ったら、街に行くからね」
病院が苦手なボクは素直に応じ、
中に入っていく母を見送りました
外で待てと言うから、
そんなに時間は掛から無いと思っていました
でも、なかなか母は出てきません
ボクは、与賀神社を覗いたり、
神社の前を流れる川に泳ぐ鯉を眺めたりしながら
母を待ちました
どのくらい時間が経ったでしょう…
一時間以上は経っていたように思います
ようやく母が出てきました
やっと、街へ行ける!そう喜んだのもつかの間、
母はとても気分が悪そう…
「ごめんね…家に帰ろう…」
とても辛そうに母が言います
楽しみにしてたから、凄く残念だったけど、
本当に母がしんどそうで、ボクは諦めて母に従いました
帰りはタクシーを使いました
ボクは項垂れてる母を横目に、
疑問の答えを探していました
何で病院の外で待たせたんだろ?
来る時はあんなに元気だったのに、
病院で診て貰って何で具合が悪くなるんだろう?
何でこんな遠くの場末ぽい産婦人科へ…?
…そう考えた時
フッとある考えに行き当たりました…
”生んでくれれば良かったのに…”
少し前に姉が、親戚の誰かから訊いてきた
話をしてくれました
「ウチ達には、兄ちゃんと姉ちゃんが本当はおったとよ。
でも、堕ろしんさったて…」
それを聞いたボクは、とても残念に思って、
何で生んでくれなかったんだと思いました
兄ちゃんと姉ちゃんが他にも居たら、
とても賑やかで、寂しさも和らいだろうに…
そんな風に思ったのです
そして、その時と同じようにこの時も
生んでくれれば良かったのに、って思ったのでした
弟か妹か…
どちらでも良いから居てくれたら、嬉しかったのにな…
これも、憶測でしかありません
何の確証もないですからね…
でも、今考えても、強ち的外れな気がしません
もしそうだとして、幼い息子を共にさせるほど、
母は心細かったのでしょうか…
だったら尚更、生んでくれれば良かったのに…
…そう思わずにはいられません
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何才の時だったか…
多分、ボクが小学校の4年生位の時だったと思います
その日はボクは学校を休んでいました
理由は風邪だったかズル休みだったか…
まあ、とにかく平日なのに家に居ました(笑)
布団に寝ていると、母が
「街に行くけん、付いて来?」
と言いました
街に行く、それは当時のボクにとって一大イベントでした
玉屋のオモチャ売り場でオモチャを見たり
レストランでハンバーグを食べたり、
お菓子を買って貰えたり…
…できる可能性があるのです(笑)
ボクは即答で「行く!!」と答えました
いつものようにボクらはバスに乗りました
しかし、いつもの玉屋前へ行くバスではありませんでした
何処へ行ってるんだろう?
疑問に思い乍らボクはバスの窓から外を眺めていました
そして、ボクらが降りたバス停は与賀神社の前
母は神社の横にある産婦人科へ向かって行きます
入り口の前まで来ると、母はボクに、
外で待つようにと言いました
「お医者さんに診て貰ったら、街に行くからね」
病院が苦手なボクは素直に応じ、
中に入っていく母を見送りました
外で待てと言うから、
そんなに時間は掛から無いと思っていました
でも、なかなか母は出てきません
ボクは、与賀神社を覗いたり、
神社の前を流れる川に泳ぐ鯉を眺めたりしながら
母を待ちました
どのくらい時間が経ったでしょう…
一時間以上は経っていたように思います
ようやく母が出てきました
やっと、街へ行ける!そう喜んだのもつかの間、
母はとても気分が悪そう…
「ごめんね…家に帰ろう…」
とても辛そうに母が言います
楽しみにしてたから、凄く残念だったけど、
本当に母がしんどそうで、ボクは諦めて母に従いました
帰りはタクシーを使いました
ボクは項垂れてる母を横目に、
疑問の答えを探していました
何で病院の外で待たせたんだろ?
来る時はあんなに元気だったのに、
病院で診て貰って何で具合が悪くなるんだろう?
何でこんな遠くの場末ぽい産婦人科へ…?
…そう考えた時
フッとある考えに行き当たりました…
”生んでくれれば良かったのに…”
少し前に姉が、親戚の誰かから訊いてきた
話をしてくれました
「ウチ達には、兄ちゃんと姉ちゃんが本当はおったとよ。
でも、堕ろしんさったて…」
それを聞いたボクは、とても残念に思って、
何で生んでくれなかったんだと思いました
兄ちゃんと姉ちゃんが他にも居たら、
とても賑やかで、寂しさも和らいだろうに…
そんな風に思ったのです
そして、その時と同じようにこの時も
生んでくれれば良かったのに、って思ったのでした
弟か妹か…
どちらでも良いから居てくれたら、嬉しかったのにな…
これも、憶測でしかありません
何の確証もないですからね…
でも、今考えても、強ち的外れな気がしません
もしそうだとして、幼い息子を共にさせるほど、
母は心細かったのでしょうか…
だったら尚更、生んでくれれば良かったのに…
…そう思わずにはいられません
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